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春の書店巡り | 札幌市中央区 | Vol.4

How long have we been living in this town? We’ve found more favorite spots, and more friends we see all the time. But sometimes, having too many “usuals” can make our world feel smaller. Let’s try a place we’ve never been. Let’s talk to someone we’ve never met. Not somewhere far away just one step beyond the streets we know. About 150 years ago, people came here and started a treasure hunt. Let’s begin the next chapter together.

雪が溶け、芽が息吹き、
風もやわらかくなってきたこの頃。
さまざまが始動する季節には心機一転、
新たな世界を見せてくれる
本の世界に浸ってみない?

春こそ、書店巡りの季節です。
 
今回は、市電でおでかけ。
「西線6条駅」からすぐ!の
【📍本と喫茶 NOMAD BOOKS】へ。

“自分の声を取り戻す” ための
街の小さな止まり木

市電が走る山鼻西線から、東に少し入ったところ。

2025年5月にオープンした本と喫茶 NOMAD BOOKS。
新刊・古本・リトルプレスなどを扱う
書店兼カフェだ。

店を開く前、
公務員として勤めていた店主の森田千琴さんは
組織からの期待に応えることをがんばりすぎた結果、
自分の声がわからなくなり、
別の働き方や進路を模索していた。

そんな中、
旅行で立ち寄った名古屋の古書店
「シマウマ書房」で
西村佳哲著『自分をいかして生きる』という本に出会い、
「仕事を選ぶときに大切なのは、
どの職業に就きたいかではなくて、
どのように生きていきたいのか」
という視点に触れた。
「自分が求めていたのは特定の職業ではなく、
安心していられる居場所をつくることだと気づいたんです」

本の言葉に背中を押され、
自身と同じように
社会や組織の中で自分を見失ってしまった人や
自分自身と向き合う機会を求めている人のための場所を作りたい!
と、一人きりで本を読めるブックカフェを
始めることにしたのだとか。

店に入って手前が書店スペースで、
奥が「お一人様専用喫茶室」。

まるで秘密基地に入っていくような
アーチのゲートがかわいいよね。

本棚にはエッセイから心理学、思想、社会学、
詩集に歌集、デザイン、リトルプレスまで
多様なジャンルの本がずらりと並ぶけれど、
その全てを貫く選書の基準は
「自分と向き合うきっかけになる本」。

森田さんは
「“引越し先にも持っていきたい本”とも言えますね(笑)」と
笑って教えてくれた。

棚を眺めていて面白いなと思ったのが、
新刊と古本を分けず、
あえて混ぜこぜに陳列しているところ。

「本の内容が持つ性質ごとに並べたいんです」
と、自分の声に気づける本と出会いやすいように
先入観を取り払ってくれる工夫がありがたい。

隅々まで気配りが行き届いた
心ゆるまる喫茶室

書店スペースだけでも
優に1時間は時間を費やしてしまいそうだけど、
喫茶室に入るとまた少し時の流れが変わる。

靴を脱いであがる部屋は定員6名で、
一人専用かつ私語やPCは禁止だから、
心がしん、と落ち着く静ひつな空間だ。

「自分だけの特等席」然とした一人用の机は
全て壁に向かって設えられていて、席の間隔も広め。
ドリンクのほか、
スコーンやケーキといった軽食、
しっかりめの食事にはチキンカレーなど、
読書のお供も豊富に用意する。

月1開催の「哲学対話の会」は
自分を解放する機会に

月に1回開かれる「哲学対話の会」。
2025年10月からスタートし、
毎月予約スタートから1時間ほどで
定員に達するというから驚き!

ここでの哲学対話は、
初対面の6人が90分語り合う。
「普通ってなに?」とか「趣味とは?」とか
テーマは、シンプルで普遍的なものだそう。

森田さんがファシリテーターを務め、
「解決を目指したり勝ち負けを決めたりする場ではないこと」
「偉人の言葉や本からの引用はしないこと」
などのルールを時間をかけてしっかり説明してくれるから、
初心者でも安心して参加できる。

「哲学対話の会」のほかにも、
「1年後の自分に手紙を送る」など
自分と丁寧に向き合えるイベントが企画されている。
今後の展開もお楽しみに!

森田さんの一押し本は
静かに自分を振り返る2冊

左の永井玲衣著『水中の哲学者たち』は
「哲学対話の会」を始める
きっかけになった一冊でもあるそう。

「“哲学”というとっつきづらいジャンルを
身近な言葉で教えてくれて、
自分の考えをたどっていく手引きにもなるんですよ」。

右はハン・ジョンウォン著、
橋本智保訳『詩と散策』。

韓国の詩人によるエッセイ集で、
「心の中が静かになっていって、
自分の声を思い出せるような本です」
と森田さんが語るように
お店を象徴するような作品だ。

最後にお知らせ!
本と喫茶 NOMAD BOOKSによるZINE『漂流書簡』の
第二集が出るんだって!
13人の寄稿によるエッセイアンソロジー、
今回のテーマは「本当のわたし」。

4月5日(日)のZINEフェス札幌でお披露目され、
その後は店頭やオンラインショップでゲットできるとのこと!
ぜひチェックしてみてね。

Profile

本と喫茶 NOMAD BOOKS

住所 / 北海道札幌市中央区南6条西14丁目1-12 ハザワマンション1F
電話 / 011-522-5589
営業時間 / 12:00〜19:00(喫茶〜18:30LO)
定休日 / 月〜水

Photo by Miku Katsuno
Text by Akane Horiguchi
Design by Keisuke Mimura

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LANDについて

いつものマチの、
一歩先。

この街にどれほど暮らしているだろう。
お気に入りのお店も増えて
よく会う仲間も増えてきた。

だけど、「いつもの」が増えるって
自分を狭める。

知らない店に行こう、
話したことのない人に会いに行こう。

はるか遠くの場所ではなくて、
いつものマチの一歩先。
およそ150年前に
この地を拓いた人々から始まった宝探し。
その続きを一緒に始めよう。

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    hina_ta_bo_kko

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    sokoniaru

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  • Riku Goda /
    合田 りく

    riku____g0806

    写真・映像クリエイター
    北海道で暮らす人々と文化、その日常を写真と映像で記録する。ウェディングやライブなど撮影するジャンルは多彩。

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    Cinematographer
    拠点をニセコに置きながら東京にも活動の幅を広げ活動中。リアルで儚い空気を映像に残す。好物は羊羹。

  • 村木渓太

    keitamuraki.jp

    映像作家 | 写真家
    2023年に拠点を東京から札幌に移し、街と人の営みをドキュメントする。プロダクトPRムービーやイベント映像も撮影。

  • 對馬友理

    yuri_24ma

    ヘアメイク | 制作・企画コーディネートetc
    広告のヘアメイクの他、制作・企画コーディネートやキャスティングなど多方面で活動中。